娘は
帰国子女
です。
(英語圏でなかったのが非常に残念ですが…涙)
主人の仕事の都合で、幼稚園年少の途中から小学3年生までの5年ほどを海外で過ごし、長女(娘の3つ上の姉)の中学進学に合わせて、主人より数か月先に私たちだけで帰国しました。
幼稚園は現地の幼稚園に通いましたが、最初は言葉が全くわからなかったことと、担任の先生が無表情で早口に話をされるので、
「先生に怒られる」
と登園しぶりをしていました。日本語を話せる先生も数人いらっしゃいましたが、いつも娘についていられるわけではないので、本当に苦労したと思います。
先生と面談させていただきましたが、全くわからない言語でまくしたてられる辛さを、私も初めて実感し、もう少しゆっくり笑顔で接してもらえないかとお願いしました。
しばらくして、言葉がわかるようになると、登園しぶりもなくなりました。
クラスの友達ともコミュニケーションがとれるようになり、あとから来た日本人の友達と現地の子の間に入り、通訳をしていたようです。
小学校は日本人学校でしたので、日本と同じ教科書で勉強し、先生も日本から派遣された熱心な先生方でした。一クラス5人前後と、とても小規模な学校でしたので、クラス内でグループを作ってそのグループ内やグループ間の争いなども経験することなく、上級生も含めて、みんなで仲良く、というのが「ふつう」の状態でした。
もちろん、友達同士でもめることもありますが、先生の目も行き届くので、すぐにその原因を話し合い、解決するということができていました。
帰国して小学4年生のスタートです。
それはそれは大きなギャップがあったと思います。
あとから娘が話してくれたのですが
●クラスに強い女子が2人いて、その子たちの言うことは絶対聞かないといけない
(いわゆるスクールカースト)
●強い子がいるグループはいつも他の子の悪口を言っている
●トイレは友達と一緒に行かないといけない
●昼休みに図書室に行きたかったから遊びの誘いをことわったら、次から誘われなくなった
●男子がいじわるなことや、汚い言葉を使う
などなど
まぁ、そんなに特別な(異常な)ことではないと思います。
日本ではよくあることです。
ですが、娘にとってはこれら全てが今まで経験したことのない異常な状態に感じられてしまったようなのです。
確かに、トイレに誘い合っていくなんていうのも日本独特の風習かもしれません。
やりたいことがあっても我慢して、みんなと同じことをするほうがよいとされがちなところ(協調性があるという評価になるでしょうか)もまたそうかもしれません。
そんな環境に苦しんでいる娘の心に気づかず、私は数年ぶりの日本での生活に慣れるべく、色んな行事や活動に参加していました。それが、子供にとってもよいと思っていました。
そして何より、長女のことを一番心配していたのです。
小学4年生よりも中学1年生のほうが友人関係も含めて大変だと思っていたからです。
実際、長女も最初の数か月は精神的に不安定な感じでもありました。ですが、幼稚園のときからの友達と同じ部活に入り、すぐに日本の生活になじんでいくこくができました。
帰国してすぐの頃のことを、後になって娘か話してくれたことがあります。
「私もきつかったけど、お姉ちゃんが大変そうだったから、我慢してた。」
というのです。
そんな娘の気持ちに全く気づいてあげられなかったことが、本当に申し訳なかったと
思います。この子はしっかり者で強いから大丈夫。そう思い込んでいました。
10年間育ててきたのに、とても繊細で傷つきやすい性格だということに気づけなかった情けない母親です。
今、15歳になった娘を見ながら思います。
この子は人の気持ちがわかる優しい子でとても繊細。一見しっかり者に見えるけど、臆病で怖がりだから、つい人前では強がってみせることがある。
そう思いながら見ると、娘の反抗的な態度もかわいく見えてくるものです。